震災から8年 当事者ではない自分が感じたこと

3月11日、あの日から8年が経った。

 

震災時に関西で何事もなく暮らしていた、「当事者」ではない自分が

今日感じたことを書き残しておこうと思う。

 

会社で初めてできた後輩が、岩手県の大船渡市出身で、

震災当時中学3年生の男の子だった。

 

彼が今日、会社の朝礼(毎日順番に誰かがひと言話す)で当番になった。

 

「今日で震災から8年が経ちました。

その瞬間は、体育館で卒業式の練習中でした。

震災後にその体育館は遺体安置所になり、卒業式は行われず、

高校1年生になってから授業が始まったのは5月に入ってからでした。

遅れを取り戻すために、夏休みを返上して授業を行っていました」

 

普段の彼は明るくて陽気な性格で、人当たりもよく、いつも楽しそうに

ニコニコしている。そんな彼がいつもと違う雰囲気で話す一言一言に、

私だけでなく全員が聞き入っていた。

 

彼の話は続く。

「その当時はやはり大変で、親を亡くした友達もいました。

でも、5月には授業が再開され、高校を卒業し、

今年で24歳を迎えることができます。

これは、周りの方のサポートがあったからこそできたことだと思います。

まだまだ自分は人のサポートをできるまでにはなっていませんが、

今度は自分がサポートできるように、成長していきたいと思います」

 

この説得力は何だろう。

会社の人の前で話しているので、多少カッコつけたことを言うのはわかるが、

彼の今日の発表はそういうレベルではないエネルギーを感じた。

 

いつだったか、テレビで誰かが

 「この震災(東日本大震災)を経験した中高生たちが、

 将来大きくなって日本を動かしていくと思うと心強いですね」

という趣旨の発言をしていたのを思い出した。

 

まさに、当時中学3年生だった彼が、その時いろいろなことを経験し、

直接見えない部分のサポートに思いを馳せて、感謝する。

そして今度は自分が、という考えで行動しようとする姿を見ると、

同じ会社で働く者として、それだけで心強い。

 

当たり前が当たり前でなくなった時、日常が非日常になった時、

もちろん当事者にとっては大変なことで、心が折れそうになることもある。

でもそれを乗り越える時、人は段違いに成長するのだろうか。

 

彼だけでなく、この震災を乗り越えた、

特に若い世代の方々の将来を考えると、何だか楽しみになります。

 

最後になりましたが、この震災で亡くなられた方々のご冥福をお祈りいたします。

そして、1日でも早い復興をお祈りいたします。

 

2019.3.11